バスケットボール 試合

福井ブローウィンズのホーム戦はどう? アクセス・雰囲気・演出を完全解説

47都道府県の中には、プロスポーツの存在感がまだ薄い地域もあります。 そのひとつが福井県です。Jリーグのクラブはなく、Bリーグの福井ブローウィンズが誕生したのも2023年。 まだ3シーズン目のクラブが、どこまで街に定着しているのか。 そして、北陸のチームはどんな“空気”をつくるのか。

そんな思いを胸に、福井ブローウィンズのホームゲームを訪れました。

セーレン・ドリームアリーナへのアクセス

冬の福井駅からバスに揺られること約20分。総合運動公園が近づいてきます。 遠くに、野球場の照明塔が見え、総合運動公園内のアリーナへ向かう時の特有の高揚感があります。

ただ、この20分は初めて訪れる人には、にぎわいもあまり感じられず、少し長く感じるかもしれません。 2025-26シーズン時点ではシャトルバスはなく、公共交通は 路線バスが1時間に2本だけ です。

運動公園は、環状バス路線(北回り70番/南回り71番)で福井駅から最も遠い位置にあり、「行きにくい」部類に入ることは否めません。

「運動公園南門」のバス停 で降りると、左手にテニスコート、奥には野球場。その裏側にアリーナがあり、徒歩10分弱で到着します。

来場者の多くはマイカーで訪れており、試合後は周辺道路が渋滞するのも見られました。

開場前の長い列 冬の福井では少し厳しい

この日の試合開始は15時でしたが、13時45分の一般開場前には、長い列が伸びていました。 14時20分からセレモニーが始まるため、皆さん早めに並んでいるようです。入場までには 約7分 かかりました。

アリーナはこの右端のさらに右手にある

屋外にはキッチンカーが数台ありましたが、ベンチはほとんどなく、寒さもあって長居しづらい雰囲気でした。

普段は試合開始2時間前に到着し、場内をゆっくり見て回るのですが、この日は イベントがすぐ始まるタイムスケジュール で、それができませんでした。

観戦体験に、構造的な限界

アリーナに入ると、まず ロビーの狭さと動線の複雑さ に驚きました。 入り口右手の空間にに飲食ブースが固まっているため、人の流れが重なり合い、歩きにくかったです。

フォトスポットの前も人通りが多く、撮るタイミングが難しいです。

グッズ売り場は1階の仮設スタンド裏に設置されているためスペースが狭く、入場制限が行われていました。

調べてみると、福井県営体育館(セーレン・ドリームアリーナ)は、2018年の国体に向けて建て替えられた二代目で、まだ7年しか経っていません。しかし、福井ブローウィンズは2020年に設立発表を行い、本拠地としてここを使い始めたのは2023年から。つまり、プロスポーツ興行を毎週のように行う前提ではない設計です。

  • 座席は木製で硬く長時間の観戦は疲れる
  • 横幅が広すぎて、コートを遠く感じる席が多い
  • 音響が平坦で迫力が伝わりにくい
  • 仮設スクリーンが一つだけで、メインスタンドからほとんど見えない

結果として、観戦体験としては、どうしても物足りない印象が残りました。

ただし、試合会場で配布されたチラシには2028年秋に福井駅近くに新アリーナが完成する計画が進んでいるとあり、まさに過渡期であることが理解できます。

声が中心、光が支える演出

アリーナの制約を補うように、演出と応援文化には力強さがありました。

最初に目を引いたのは、ホームチーム入場時の照明の演出です。 青と白のライティングで統一され、場内の空気を一変させました。

音響が平坦な分、照明が空気を変えていき、歓声を引き出し、声が中心の空間に彩りを添えているように感じました。

MCは2人体制で、情報を読み上げるMCと観客を盛り上げるMCの分担が機能しており、 声による一体感づくりを自然に後押ししていました。

応援はとにかく素直で、一体感が強い

  • 選手紹介後に愛称をレスポンス
  • 応援練習からしっかり声を出す
  • タイムアウト明けには、MC 「レッツゴー」→観客「ブローインズ!」
  • 第3クォーター終了後のタオル演出

どの瞬間も、MCの呼びかけに観客の反応が早く、声量も大きいです。 声で試合をつくる文化が根づきつつあると感じました。

一方で、ダンスグループは控えめで、 MC の存在感 が際立っていました。

満員に近い約3,800人が集まり、声の迫力で、熱気が場内に広がっていました。

「声が空間をつくる」アリーナ

試合後、渋滞する車列を横目に見ながら、この日の光景を振り返りました。

確かに、アリーナには難しい部分が多くあります。 動線、音響、座席、スクリーン。 どれをとってもプロスポーツを魅せる器としては十分ではありません。

それでも、私が一番強く感じたのは、「声が空間をつくっていた」ということです。

観客が声を合わせ、応援を覚え、MC の掛け声に呼応して一気に空気が変わる。 第4クォーターには、その熱がさらに高まり、アリーナ全体が揺れるような一体感が生まれていました。

器が足りないなら、声と工夫で埋めていく。 その取り組みが、文化になりつつあるのだと思います。

福井ブローウィンズは、そんなクラブでした。

2028年に福井駅近くで新アリーナが完成した時、この街のバスケットボールはどんな表情を見せているのでしょうか。
次に訪れる日を、今から楽しみにしています。

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