海外からも多くの観光客が訪れる広島は、スポーツチームが数多くあることでも知られています。
野球は市民の生活に根差した文化になっており、サッカーもプロリーグが始まる前から歴史を積み重ね、存在感を発揮してきました。そして、プロバスケットボールチーム、広島ドラゴンフライズは、2023-24シーズンでチーム創立10周年を迎え、プレーオフに出場できる強いチームに育ちました。元々はバスケットボールが盛んではない街で、どのようにして、ここまで強く、愛されるチームになったのか。現場で見ようと思いました。
広島サンプラザホールへの行き方
アリーナの最寄り駅は、JR山陽本線の新井口(しんいのくち)駅です。広島駅から宮島口方面への電車に乗り、4駅。12分で着きます。
街の中心部のホテルからですと、広島電鉄(路面電車)の7番横川駅行きに乗って、終点でJRに乗り換えます。横川駅からは、2駅で新井口駅に着きます。もしくは、広島電鉄宮島線の商工センター入口駅が新井口駅と隣り合っているので、時間は少し長くかかりますが、路面電車でずっと行く手もあります。
新井口駅から、徒歩10分ほどの駅からアリーナまでの間は、屋根のかかった陸橋をずっと歩いて行きます。柱にチームのロゴなどが出ているので、迷わず行けるでしょう。大きなショッピングモールがその両側にあります。カフェやレストラン、フードコートなども揃っており、試合前の時間を快適に過ごすことができます。
広島サンプラザホールは、試合前の買い物がしやすい
ホールの一階部分の屋外に、総合受付や飲食のブースが出ています。屋根もあります。たこ焼きを焼いていたり、唐揚げ、お弁当やパンも売られていました。狭いスペースにお店がぎゅっと集まり、バリエーションもひと通り揃っていました。
ホールの隣は、木々に囲まれた公園になので、真冬でなければ、そのベンチに座って食べたり飲んだりするのも気持ち良いです。
グッズ売り場はチケットをチェックしてもらって入場した1階のロビーに設けられています。選手ごとのコーナーがあって、見やすかったです。
広島サンプラザホールの座席表、案内図
アリーナは二階建て。入口がゴール裏のサイドにあります。一階と二階を行き来する階段がこちらのサイドにしかなく、場所もちょっと分かりにくいです。
この階段付近に、キッズコーナーやフォトスポットがあります。
また、駅から続くブリッジを歩いてきて、そのまま二階から入場することもできます。
このアリーナは、竣工が1985年なので、 Bリーグのホームアリーナとしては古い方です。 スタンドの傾斜が緩やかで、コートまでの距離をやや感じ散るところにやや古さを感じます。しかし、2011年ごろに改修したそうで、老朽化している感じはしません。
私が座った二階の座席は、クッションが付いていてコンサートホールみたいな感じでした。
広島ドラゴンフライズの応援、演出
天井から吊るされたスクリーンはやや小さいものでしたが、情報を見るには十分な役割を果たしていました。
注意事項やファンクラブ会員募集などの映像に選手が出ていて、来場者に呼びかけるようなものでした。
試合開始前の選手入場時の演出は、10年のチームの歴史を名場面の写真で振り返る形で、ファンに思い出させるもの。かつ、今日初めて見に来たとしても、その歴史が伝わるように上手くまとめられていました。
試合前に応援練習がありました。攻撃が4パターン、その他も3パターンで計7パターン。多めで覚えるのはちょっと難しいかもしれません。
試合中の応援は、細長いツインメガホンを拍手代わりに叩くスタイルです。この応援スタイルは、元々プロ野球で始まったものなので、野球が盛んな広島には、馴染みやすいでしょう。
世界でも稀なスポーツ会場の演出
ちょっと他では見られない演出がいくつもあって、非常に印象に残りました。
まず、試合前に両チームの代表者がおりづるを交換します。おりづるは、平和の象徴です。広島では、平和記念公園などでも数多く見ることができます。「おりづるタワー」という建物も、その公園のそばに立っています。
このクラブのホームページを見ると、「平和があるからこそのスポーツ。スポーツがあるからこその平和を追求していく」と掲げています。このシーンがあるおかげで、バスケットボールを見に来たとしても、平和について考える時間が持てることになります。
試合後には、その試合で最もフェアで誠実なプレーをした選手、両チームから一名ずつに、おりづる賞を贈ります。スポーツマンシップという考え方がありますが、この賞は「相互に敬意を払うことが平和への第一歩」というメッセージを発信するために行われているのだそうです。
そして、試合が終わってビジターチームがコートから退場する際に、スタンドにいる人がみな立ち上がり、拍手で送り出しました。スタンディングオベーションで、相手への感謝や敬意を伝えました。
日本にプロスポーツクラブは数あれど、広島ドラゴンフライズは理念を掲げるだけではなく、実践するところまで、クラブの中に浸透していることに、「ここまでやるのか」と心が動かされました。
平和都市にあるプロスポーツクラブとして、何ができるのかを考え、実践している。世界でも稀に見るスポーツチームではないかと思います。