静岡といえば、お茶や富士山が有名です。そして、静岡のスポーツと言えば、サッカーが未だに強いイメージとして残っています。
そんな場所で、バスケットボール文化を根付かせようと活動しているのが、Bリーグのベルテックス静岡です。その様子を見るために、静岡市を訪れました。
静岡市中央体育館へのアクセス
県外から訪れる人は、JR静岡駅を利用することになるでしょう。新幹線のひかり号とこだま号も停車する、大きな駅です。静岡県は東西に長く、サッカースタジアムなど他のスポーツ施設は、他の駅にあります。今回改めて、静岡駅は意外と来たことがなかったかも、と思いました。
静岡市中央体育館は、静岡駅から北のほうへ歩いて20分ほどのところにあります。静岡鉄道の新静岡というターミナルビルをまず目指し、そこから北街道と呼ばれる道を進んで行きます。駿府城公園の方向です。
もしくは、駅の北口のバス停から、しずてつジャストラインというバスに乗り、二つ先の「市民文化会館入口」で降りて、5分ほど歩くと着きます。
静岡駅の北側は商業エリアが続いていて、大きなショッピングモールもあれば、チェーン店ではない個人商店も多数あります。体育館まで歩いて行く道のりは、退屈しません。途中のお店の前にポスターが貼ってあったり、建物の上に大きな看板も出ていました。
「いこいの広場」と呼ばれる小さな公園が、左手に見えたら、そこを曲がって入っていきます。お堀沿いに右手に進んで、市民文化会館の裏手を通り、更に行くと、建物が見えてきます。
静岡市中央体育館は、駿府城公園の北側 キッチンカーも
静岡市中央体育館は、駿府城公園の北側に位置します。駿府城は天下を取った徳川家康が築城したことで知られています。お堀にに挟まれた場所です。隣には静岡市民文化会館があり、その間のスペースにキッチンカーなどが並んでいて、試合前に楽しめる場所となっています。敷地内に座れる場所もあります。
ベルテックス静岡は、マスコットのベルティが人気
私が訪れた日は、マスコットの巨大なふわふわが子供たちに大人気でした(有料です)。他にも、クラフトコーラなどオリジナルの食べ物や飲み物がいろいろあって、チームが力を入れていることが分かります。
グッズ売り場では、マスコットのベルティがどの選手よりも目立っていました。モコモコしていて、肌触りも気持ち良いです。マスコットのグッズを身につけている人もたくさんいました。
ベルテックス静岡 場内案内図
静岡市中央体育館は、観戦するためのアリーナではなく、市民が試合や練習、健康づくりを行う場所です。スタンドが小さい分、仮設の座席をたくさん設けています。入口が一か所しかなく、二階に上がる階段も狭いです。場内にブースを設置するスペースはほとんどなく、場外で楽しんで、入ったら見るだけと思ってください。
また、座席幅が狭く、隣の人と腕が触れ合うこともあるでしょう。これらの不便はありますが、我慢するしかありません。建てられたのは1971年だそうですから、50年以上経っています。洗練された映像や照明を駆使した演出はありません。それでも、大きなスクリーンを用意したり、両サイドの白い壁にチームロゴなどを映したりして、雰囲気をつくっていました。
ベルテックス静岡の応援 人のパワーを集める
施設や設備上の制限がいろいろとある中で、どうやってエンターテインメント空間をつくるのか。このチームの答えは、人のパワーです。
とにかく、場内MCとチアが全力を出し尽くします。
私が訪れた日のアリーナMCは、関東のスポーツイベントの会場でもよく見かける人気MCでした。試合が始まる前から、スタンドのファンに「初めて来た人、手を挙げてください」などと話しかけ、相互にコミュニケーションをとります。「ここでは、観戦ではなく、参戦なんで」と表現しました。マイクを使ってしゃべるだけではなく、コートサイドをぐるりと周りながら、観客たちと会話もしていました。選手やスタッフともハイタッチをしていました。
チアリーダーも試合前からオススメのグッズを紹介して、そのままスタンドに売りに行ったり、来場者のメッセージを読み上げて、そこにお花を贈呈したりと、スタンドを駆け回っていました。
そして、MCとチアは、試合前の応援練習から全力でやることを観客に求めます。「まだまだ、こんなもんじゃないだろう」と煽って、声のボリュームを上げるよう促します。
ベルテックス静岡の応援や演出
そして、応援は、試合開始直後から全開で行かせて、そのまま試合終了まで押し切りました。
オフェンスの時は、「ベルテックス」と声を出す。そのボリュームで選手たちを後押しします。タイムアウトの時には、タオルをぶんぶん振り回して、いちばん目立った人にプレゼントを贈る。ハーフタイムが終わって、後半に入るところでは、スクリーンに音量メーターが出て、観客が声を出し、MAXに行ったら、スタンドにボールが投げ込まれる。
試合時間残り1分を切ったところで、大きな旗を持ったスタッフが走って出てきて、コートをぐるりと全力疾走、観客はウェーブを起こす。
最後の最後まで、ボルテージを上げることを続ける。とにかく体を動かし、声を出させ、一体感を強めていきました。勝利を収めると、MCからは「今日の雰囲気は最高だった」と、観客が誇りを感じるような言葉が贈られました。
人の熱量もエンタメ
これまでのBリーグの会場では光や音、花火などお金をかけた演出はたくさん見てきましたしかし、それらがなくても、応援をリードする人の熱量が突き抜けていれば、それに乗ることが、応援自体がエンターテインメントになることを証明していました。日常生活でこんなに大声を出したり、数千人もの人と一体感を味わうことはない訳ですから、これも非日常です。心地よい疲労感を得られました。